このまえ教えてもらった本、「融けるデザイン ―ハード×ソフト×ネット時代の新たな設計論」(著: 渡邊恵太) を読んだ。 以下はその解釈と感想である。
融けるデザイン ―ハード×ソフト×ネット時代の新たな設計論 | 渡邊恵太 |本 | 通販 | Amazon
本書では「自己帰属感」という言葉を通して良いインターフェイスとはどのようなものかを述べている。 自分の与えた動作に伴ってリアルタイムに反応があると自己帰属感が生まれ、自己帰属感が高まると身体が拡張したかのように思いのままに操作できるようになる。
例えばキーボードは、慣れるまではひどく使いにくいが、慣れてしまえば文字を打つときに自然と手が動き自分の身体の延長のように扱える入力機器だと思う。 車だって自分で運転することに慣れてくれば車体感覚が身につき狭い道路でもなんとなく車を端に寄せたりできるようになる。 キーボードも車も、手で握るハンマー等よりよっぽど複雑な道具だけれど、慣れてしまえばそこそこの自己帰属感を得られるようになる。1
こういった自己帰属感の有無には自分が与える動作に対する遅延ない応答が必要なようだ。 一方、動作の方向や方法は、慣れが要求できる範囲においては遅延ない応答ほどは重要度が高くなさそうに思う。 たとえば車のアクセルもブレーキもペダルを踏む動作だが加速と減速という正反対のものを扱うし、キーボードもボタンを押下することで抽象的な概念である文字の入力を行う。
本書を読んだうえで、じゃあ自分がソフトウェア開発 (特にWeb開発) を行うときにどう活かせるかというと結構難しい。 本書ではどうやって作るかやGUIにおいて何が良いのかを具体的に示しているわけではなくもっと抽象度の高い話をしている。2
その中で"遅延"がユーザに与える自己帰属感の低下はWeb開発でもイメージしやすいものだろう。 たとえば遅延ない応答の具体的な例といえば、いいねボタンを押したときに押した瞬間に表示を変更しサーバへのリクエストは裏で送るといった実装がその1つかもしれない。
そういったユーザとのインタラクションにおいて遅延がいかにユーザに自分の思い通りに操作する感覚を失わせるかを知ることができた。 開発者からすると微々たる違いであるのにユーザには大きな違いとして現れることは意識して開発するとよいだろうと感じた。
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