前の記事に書いたとおり先日ペパボECテックカンファレンスに登壇しました。 今日はテックカンファレンスの内容ではなく発表前後に考えていたことと気持ちをいくつか記します。

「新卒」という言葉を使わない

発表に際してひとつ気をつけていたことに「新卒」という言葉をあまり使わないことがあります。

テックカンファレンスの目的や狙いが記載された社内向けのissueを登壇が決まった頃に読んだ記憶があります。 これと今までやってきたこととを照らし合わせ自らの発表を聞いて欲しい人をジュニア層 1 のエンジニアと定めていました。

私は新卒で入社したのでその体験をこれから新卒で入社される方や興味のある方に向けて話す行為は普通は一定程度価値があると思います。 しかしながら実は聞いて欲しい人として定めたジュニア層のエンジニアと、私の所属する会社の今後の新卒採用の募集方針は重なる部分が少なくなっています。2 このことを鑑みると「新卒」という言葉を聞いて会社に興味を抱いてくださっても募集要項とは重ならずミスマッチが発生することになります。

そこで聞いて欲しい人と伝えたい内容を合わせるために、新卒かどうかにかかわらず「新しくチームに入る人」という視点で内容を組み立てることとしました。 これであれば新卒に限定せずエンジニアに広く聞いてもらえる内容となります。 チームで働いている人は誰でも人を迎え入れたりチームに加わったりした経験があるはずですし、今後チームで働きたい人にとっても聞く耳を持ってもらえることと思います。

技術的にどんなことに取り組んだかを軸にしない

テックカンファレンスですから技術に興味のある人が集まり技術について発表する場であることは明らかでしょう。 しかしながら今回発表したようなチームとしてうまくやるための手法も、技術による価値提供を支えるために技術者に求められることの一つに思います。

もちろん技術の話は面白いし現にたくさんの方々が技術の話をされたわけですが、一方で今の私が技術の話に触れたとき内容が中途半端になることを恐れていました。 日々の仕事は難しく面白いものでありエンジニアであるから技術を用いた課題解決をしているわけでありますが、今やっている事柄は業務知識に密接に紐づいたものであったり事業部の物事をキャッチアップしたりする機会が多く、切り取り方が難しいと感じていたのです。

しばらく考えてもあまり良い内容が思い浮かばず、発表が近づいてきた段階で自分で決めたのが「技術的にどんなことに取り組んだかを軸にしない」ことでした。3 中途半端に技術の話をするよりも、どのように考え何を感じたのかの方がきっと面白味があるし、私の発表の目的4のひとつであった「このサービスで働くのはこんな感じか」を想像しやすいのではないかと考えました。

テクニカルな内容にあまり触れなかったのは結果としてよかったと感じています。 今の私に話せることを発表に落とし込んだつもりですが、一方で他の方々の発表を聞いて「技術的にこんなことをやっているぞ」と自慢できるくらい成果を出せるようになりたいとも思ったので、来年以降たくさん成果を出して発表の場に立ちたいと思います。

聴衆は"あなたの発表"を聞きに来ているのです。

発表前に社内のSlackに投稿されていた文章がいい話だったのでここで触れます。

初めての発表で緊張していたり、どういう反応がくるか不安になってしまうというのはよくわかります。 しかし、あなたの発表を見に来ている人は、他の誰でもない「あなた」の発表を見たくて見に来ているのです。

聴衆は"あなたの発表"を聞きに来ているのです - けんちゃんくんさんのWeb日記

(どうぞ上記の記事を全文お読みください)

当日は緊張していましたが、何か一つでも持ち帰ってもらえるものがあればという気持ちで内容に自信を持って臨むことができました。 オンラインで発表していたので聴講者の顔は見えませんが、何人もの人に発表を聞いていただけたようで本当に嬉しいです。

次にまた発表の機会があったときこの文章を読んで気持ちを整えたいと思っています。 あわせて自らの話を聞く時間をとってくださる人のために内容に自信をもてるだけの準備をしなければと感じます。

Speaker Deckにスライドを公開する

当日の発表スライドはSpeaker Deckにアップロードしました。 公開にあたって気をつけたことがあるので紹介します。

Google SlidesとSpeaker Deckの相性

どうもGoogle Slidesで出力した日本語を含むPDFはSpeaker Deckで公開すると崩れるようです。(太字部分が白抜き文字になる) これを回避するために一旦Keynoteで読み込んでからPDFにするなどしました。 Keynoteに読み込むとスライド内のオブジェクトの位置ズレなどが発生するので、それを修正する必要もありました。

Speaker DeckのタイトルとURL

Speaker Deckで公開したスライドのURLはタイトルから生成されるようになっています。 日本語の場合はローマ字読みのアルファベットに置き換えられますが、完全に正しい読みになるわけではありません。 これを回避するために発表名の末尾に/を付けて続けて半角英数字などをおくと、/の後の半角英数字のみがURLになるようです。

これを生かして以下のようなタイトルとURLとしました。

以上、雑多ですが、発表に際してどんなことを考えていたかを記しました。

Footnotes

  1. ジュニア層のエンジニアとはペパボのエンジニアの各種制度 2020 夏 - ペパボテックブログ で示されている1-3等級相当のエンジニアのことを指して言っています。

  2. GMOインターネットグループ共通2023年度新卒採用エントリーを開始しました - GMOペパボ株式会社 にある通りの採用基準が定められています。これは新卒の採用基準であって、例えばジュニア層向けの中途採用未経験者向け研修付き採用「ペパボカレッジ」などはこれに該当せず、募集が開かれています。(2021/12/16時点)

  3. 発表の趣旨から離れすぎない範囲で技術的な内容に触れてはいます。(環境作成タスクの内容や自動テストなど)

  4. 私の発表を聞いて「このサービスで働くのはこんな感じか」「このサービスで働くのは面白いぞ」「このサービスで働いてみたい」などの感情を想起してもらいたいと思っていました。